
初めて新車を買ったのは1996年のこと。一目惚れでした。前から見ても後ろから見ても斜めから見ても格好いい。公私ともに高速道路に乗る機会が多かったので、排気量を考えても「この車しかない!」と思いました。
買ったばかりの頃は、乗るたびに気分がいいものです。新車独特の匂いは好き嫌いがあると思いますが、新しい機能を試したり、スイッチを押してみたり、ナビゲーションで遊んでみたり。すぐ近くであっても車で出かけて、気分の良さを味わっていました。さすがに今では、車に乗り込んだ時の幸福感はあの時とは違いますが、購入から20年以上経っても、運転するたびに喜びを感じます。
幸いなことにこれまで事故を起こしたことはありません。推定時速2キロで駐車場の柱にコツンとぶつけたり(キズはつきませんでした)、推定時速3キロで同じく駐車場の柱をガリッとこすったり(これはさすがに僅かなキズがつきました)したことはあります。小石が跳ねたのか、荷物で引っ掻いたのか、車体に無数の細かいキズはあります。今でもたまに手洗い洗車をしますが、大きなへこみもキズもないまま、20年以上乗り続けてきたのです。
これまでの大きなトラブルといえば、エンジンルームから煙を吐いたことくらいでしょうか。エアコンをつけたら変な臭いがし、少し走ったら煙が出てきて怖くなり、ファミレスの駐車場に車を止め、生まれて初めてJAFのお世話になりました。その後すぐにまたルームミラーの消し忘れによるバッテリー上がりでJAFを呼びましたが、これはトラブルというより自分の不注意です。それ以外では、ナビ画面が真っ暗になって交換、ワイパーが動かなくなった、それくらいです。20年でこの程度のトラブルしか発生していないのだから、大いに満足といっていいでしょう。まあ、経年変化だと思って諦めているCDとテープの故障(CDは3回に1回くらいしか再生できない、テープは4回に1回聴けるかどうか)や、TVの砂の嵐化(地デジ化によって見られなくなりました)などの小さな問題はあります。また、純正ナビの地図の更新が10年以上前に終了しているなど、対応策はあるのに放っていることはいくつかあります。サイドミラーや運転席の位置を動かす電動部分はこれまた3回に1回くらいしか作動しない……のも経年変化だと思って諦めています。
10年ほど乗った頃からでしょうか。ディーラーの営業マンから「新車はどうですか?」という案内が多くなりました。いつも「こんなに好調に走っているのに乗り換える理由がないよ」と答えていました。営業マンも「バブル後で車の作りもしっかりしているし、故障も少ないですよね」と苦笑いして終わりです。本音を言うと、この車よりも格好いい車が見当たらなかったのです。
あるブランド車の一発目の車が披露される新車発表会に行ったことがあります。楽団による演奏があり、軽い立食パーティーも楽しめました。それまでカタログや自動車雑誌でその車を見ていましたが、実際に自分の目で見たら……どうしても後ろから見た際の格好が気に入らなかったのです。良い車なのはわかりました。でも……。思わず「次のモデルチェンジはいつですか?」と」聞いてしまいました。
それ以降も、ちょっと好きになりそうだったあるSUVの試乗をしたり、格好いいけれど予算オーバーな車 をカタログだけ見て断念したり、といったことはありました。次は恐らく最後の車になるだろうなと思っているので、より慎重になってしまいます。

長く同じ車に乗っている、というのは、物を大事にしながら使っていることと同義です。しかし、税金は高くなりますし、車検費用もかさみがちです。車の性能が上がるにつれ、恐らく燃費は良くなり、環境に与える負荷も減っているのでしょう。だから古い車に乗っている人には高い税金を払ってもらう、そういう理屈なのでしょうね。日本経済を回すためにも、数年で車を買い替えてくれ。そんな声が聞こえてきます。
10年乗ったら中古車で売っても数万円、でも20年乗ったらクラシックカーになってウン十万円? そんな話を聞いたことがあります。ということは、今年で21年目ですから、少しは価値が出るクラシックカーの領域に入ったのではないでしょうか(笑)。手放したくはないけれど、「その格好いいクラシックカーを売って!」と言われれば少し考えます。まあ、そんな可能性はないと思いますが。
ちょっと前に、オートマオイルを交換しないと車が壊れると言われました。しかし、新品のオイルにすると、そのことによって壊れることがある、とも言われました。確かに依然と比べると、ほんの僅かではありますが、ギアが変わる際のショックが大きくなっています。しかし、交換して壊れるリスクは負えないので、交換せずに壊れるリスクを背負いながら運転しています。最初に「購入から20年以上経っても、運転するたびに喜びを感じます」と書きましたが、その一つに音があります。巡航スピードになった後、だいたい時速40〜60キロくらいですが、そこで軽くアクセルを踏み込むと、何とも表現できない素晴らしい音が聞こえてくることがあるのです。いつもではありません。そしてほんの僅かにアクセルを踏んでいるその瞬間だけです。現在では生産されていない我が愛車の本やネットを見ても、こんな情報には一度も接したことがありませんので、私だけが知っている秘密だと思って悦に入っています。
素晴らしいエンジン音を聴きながら運転し続けてギアが壊れるのが先か、「この車しかない!」と思えるような車に巡り会うのが先か。それはわかりません。丈夫で格好いい大好きな車に乗り続けて21年目。22万キロを超えましたので、ひとまず25万キロあたりを目標に乗り続けたいと思います。あー、でも今年、車検なんですよねー。ま、タイヤもバッテリーも替えたばかりだから、車検の一つや二つ、乗り越えてみせる!(笑)(by K-F)
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