
「オイシい話は転がっていない」。真実だと思う。オイシい話は軽く埋まった状態にあるので、掘り起こしてやらねばならないのだ。つまり、自らが能動的にアクションを起こさない限り、巡り会うことが難しいということだ。
今年3月のことだが、ついに狙っていたIPOに当選することができた。IPOというのは簡単に言うと新規公開株のことで、私のような弱小投資家はネット証券に申し込んでひたすら当選を願うという宝くじみないなものだ。ただ、宝くじと異なり、元手は0。当選した場合のみ、公募価格分の金額が必要になるだけだ。そして、初値は公募価格を上回ることが多いから、当選すれば大きな利益を手にすることができる可能性が高い。そして今はインターネット時代。IPOのどの銘柄がどの程度の初値になりそうなのか、それを見ればほぼわかる。それゆえに、初値が公募価格を下回りそうな銘柄をあらかじめ除外できるから、申し込みの時点で「当選すればほぼ確実に利益が出る」ことがわかる。つまり、リスクのない宝くじなのだ。
これまでに当選したIPOといえば、日本郵政やJR九州といった超大型IPOのみ。これらは当選株数が多く、公募割れの可能性を指摘する専門家もいた。結果的に初値は公募価格を上回り利益が出たので良かったけれど、宝くじに当たったというよりは公営ギャンブルの1.2倍の単勝を取ったという感じだった。
弱小投資家にとって、IPOの当選確率を少しでもアップする方法は、より多くの抽選機会を得ることだ。資金量が多いほど当選確率が上がる証券会社もあるが、1人1票の完全平等抽選を謳う証券会社が多いから、昨年からは口座を増やし、せっせと申し込んできた。そして「落選」の文字をイヤというほど見てきた。もう頭の中には「落選」の文字しかなく、その文字と証券口座の画面やメールの「落選」の文字を重ね合わせる作業ばかりしていた。それが当たり前になっていた。……しかし! 3月9日、ついにその日が来た! 銘柄6545のIPOについに当選したのである。その「当選」の文字は光り輝いていて、その喜びで当選銘柄の会社まで好きになってしまったくらいである。もちろん、そのメールは消さずに取ってある。それくらい嬉しかったのだ。
これも、多少の手間をかけてIPOに申し込み続けた結果だと考えている。オイシい話は転がっていない。軽く埋まった状態にある。それを掘り起こす作業を続けたからこそ手にすることができたのだ。これからも、IPOへの申し込みは続けていくだろう。たとえ報われなかったとしても。なぜなら、リスクのない宝くじだから。
ちなみに当選した銘柄だが、上場日まで、初値で売るかしばらく持っているか、深く考えた。結果的に初値で売ったけれど、また一つ、株式投資の醍醐味を味わい、経験値が上がり、スキルも上昇したような気がする。(by K-A)
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